Windows 10 Creators Updateが完成した。本日(4月11日)から配信が開始され、順次、Windows Updateによってエンドユーザーの環境が更新されていくという。ここではこの新しいWindows 10の概要について紹介することにしよう。


■更新を自分でするか、されるのを待つか

Windwos 10は変わり続けるWindowsとして、随時、不具合の修正や新機能の追加が行なわれるOSだ。Microsoftは、Windows 10を最後のWindowsとし、もうメジャーバージョンアップはないという建前の戦略で、継続的にWindowsを進化させ続けている。

そうはいっても、マイルストーン的な意味合いを持つバージョンはある。直近では、2015年7月にリリースされた現行のバージョン1607だ。バージョン1607に至るまでの道のりは、

Windows 10の初版 2015年7月(TH1) バージョン 10.0November update 2015年11月(TH2) バージョン 1511Anniversary Update 2016年7月(RS1) バージョン1607

となっている。()内はコードネームで、THはThreshhold、RSはRedstoneの頭文字だ。ほぼ半年強でバージョンが上がっている。今回は、ほぼ8カ月ぶりの新バージョンで、正式には次のバージョンとなる。

Creators Update 2017年3月(RS2) バージョン 1703

ちなみに、バージョン 1703の一般配布が始まらないうちにInsider Preveiwは新しいビルドの配信を開始している(『Creators Updateの公開日前に次期Windows 10「Redstone 3」のテストが開始』)。すでに次のメジャーバージョンとされるRS3への歩みが始まっているのだ。

一般ユーザーの環境は、4月11日以降、順次、Windows Updateによって、バージョン1607からバージョン1703に更新される。もちろん追加の費用はかからない。

環境にもよるがダウンロードに数十分、インストールの準備に数十分、再起動してのインストールに数十分、サインインして数分と、小一時間あればアップグレードが完了するはずだ。設定アプリのWindows Upgradeで確認することで、最新のビルドへの更新ができる。

どうせアップグレードするならさっさとすませてしまいたいと思うのであれば、更新アシスタントを使って手動でアップグレードする方法もある。このページでは、別のPCにWindows 10をクリーンインストールするためのメディアを作成するツールやISOファイルへのリンクなども用意されている。

アップデート後、たぶん、最初の印象は、あまり代わり映えしない……、じゃないかと思う。手元の環境の多くはほとんどがInsider PreviewのFast ringで、この8カ月間の間に40回近く更新を繰り返してきたから、もう慣れきってしまっているというのもあるが、比較のために1607のままにしてある環境もある。実際、この原稿は、1607と1703を並べた上で、1703上で書いているが、それでも変わった感じはあまりない。

■使い勝手を高める細かい新機能追加

Creators Update は、その名称のわりにはクリエイティブな用途に集中してフォーカスしているわけではない。実際、目新しい新機能としては、3D対応、HoloLensなどのMRデバイス対応、そしてゲームモードの追加くらい、また、EdgeのUXが多少変わったくらいのもので、エンドユーザーがデスクトップでアプリケーションを使って作業するという面では、そんなに大きく変わった感じがまったくない。これまで1607を使ってきたユーザーなら、特に違和感なく使い続けることができるだろう。

おそらくは、もっとも面食らうのは従来のコントロールパネルを呼び出す方法が隠蔽に近い形になってしまったことだろうか。設定アプリからコントロールパネルアプレットに遷移する項目もまだたくさん残っているので、コントロールパネルそのものがなくなったわけではない。

1607の環境ではスタートボタンを右クリックしたときのコンテキストメニューの中にコントロールパネルがあったが、1703ではなくなってしまっている。ただ、「ファイル名を指定して実行」で、「control」を実行すれば、お馴染みのコントロールパネルが開くので、ここだけは頭の中においておいたほうがよいかもしれない。

設定アプリにはいろいろと手が入っている。どこにいったのかわからなくなるというよりは、わかりやすく整理したという印象だ。

たとえば「システム」→「ディスプレイ」を開くと、これまでよりも大幅に設定項目が増えている。これまではサイズの変更と向きを設定できるだけだったが、「色」、「夜間モード」、「カラープロファイル」、「複数のディスプレイ」などをこの1箇所で設定できるようになった。

夜間モードは色温度を暖色にして、睡眠を妨げないようにする時間帯を指定することができるというもので、デフォルトはオフだが、オンにすると、日の入りから日の出までは夜間モードになるなど芸が細かい。もちろん任意の時間帯を設定することもできる。

「システム」→「ストレージ」では「ストレージセンサー」が新設された。これによって一時ファイルやごみ箱の中味などを自動的に掃除してくれる。具体的にはアプリで使用されていない一時ファイルを削除したり、30日間以上ごみ箱にあったファイルを削除するように設定ができる。

「設定」ー「デバイス」については、各種デバイスとBluetoothデバイスが別になっていてわかりにくかったものが「Bluetoothとその他のデバイス」として統合された。Bluetoothデバイスとのペアリングについては明示的に「Bluetoothまたはその他のデバイスを追加する」で追加ができる。

「個人用設定」では、背景の単色について「カスタム色」を指定できるようになった。たとえば1607では、設定アプリから背景色を白にすることができなくなっていたが、RGB、HSVで好みの色を指定することができるようになった。クリエイターがもっともこだわる部分ということだろうか。また、これまではコントロールパネルアプレットに遷移するだけだったテーマの設定を、設定アプリでまかなうようになっている。

■全貌の見えないアップデート

使う、使わないは別にしても、Windowsの象徴とも言えるスタートメニューについても手が入った。たとえば、タイルをグループ化して分類する以外に、フォルダ的にタイルをまとめることができるようになっている。さらに、スタートメニューにアプリの一覧を表示するかどうかを設定できるようになり、設定しない場合はタイルとしてピン留めしたアプリと、すべてのアプリの表示をトグルで切り替えられるようになっている。

このように、UXの点では、それなりに新しくなっているのだが、実際、OSとしては何がどのように変わったのかが今ひとつ明確ではない。

4月になって、Microsoftは、Creators Updateにおいて、デスクトップアプリの高DPIディスプレイ対応の改善を発表している。これについてはAnniversary Updateのときにも一定の進捗があったのだが、今回はそれがさらに進化したかたちだ。

このように個別に紹介してくれればよいのだが、OSそのものにどのような変更が加えられたのか、グラフィックスはどうなのか、ネットワークはどうなのかといったことがわからない。実際に使ってみた感じでは、以前よりキビキビしているとは思うのだが、いまひとつ、モヤモヤ感がある。

Insider Previewは、新しいビルドが出るたびに、更新内容の詳細を公表しているし、わかっている不具合を公開してもいる。だが、これらの不具合の出方は、機能の追加によるものだけではなく、もっとローレベルの改変が影響しているように感じられるものも少なくなかった。また、Creators Updateでは、USB Audio Class 2.0 がサポートされるようになったのだが、その詳細についてもよくわからないままだ。

5月には開発者向けのカンファレンスとして //build/ がシアトルで開催され、そこで数々の技術セッションにおいてWindows 10 Creators Updateの全貌が明らかになるのだろうし、さらには来たるべきRS3の構想もお披露目されるに違いない。

だが、エンドユーザーは、そのあたりのことを何もわからないままに4月11日以降、順次、OSが新しいバージョンに更新されることになる。エンドユーザーが知らなくてもいいことなのかもしれないが、知りたいユーザーが、新しいWindowsについて知ることができてもいいのではないか。

 

 

 

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